雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 陛下は全てを知っていて、ラクロット氏もそれを知っている——?


 最初に血相を変えて、ロイドの元に飛び込んできたのはラクロット氏だ。
 あれが演技だったというのか?


「ラクロットさんも最初から知ってたんですか?」


 ロイドが厳しい口調で問い詰めると、ラクロット氏は気まずそうに見つめながら、ユイが東屋でケガをした後、陛下から告げられた事を教えてくれた。

 ラクロット氏は事後承諾させられたという事らしい。


「立ち話もなんだから、みんな座って話そうよ」


 殿下に促され、全員でソファに移動する。
 皆が注目すると、殿下は順を追って、真相を話し始めた。

 ユイがクランベールにやって来た一週間前、殿下はユイの推理通り、東屋の石段を踏み抜き、偶然地下遺跡を発見した。

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