雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドは小さく舌打ちして、果実酒を一気に口に含む。
 空のグラスをテーブルに置き、素早くメガネを外してその横に置いた。

 そして、不安げな表情で見つめるユイの横に片ひざを付くと、両手で頬を包み、強引に顔を上向かせて口づけた。

 舌先で無理矢理こじ開けた唇の隙間から、果実酒を注ぎ込むと、ユイが腕を叩いたり引っ張ったりして抵抗した。

 非力なユイの抵抗など物ともせずに、ロイドは口の中の果実酒を全てユイの口に移した。

 やがて、ユイが果実酒を飲み干すと、ロイドは唇を解放した。

 ひと息に強い酒を飲まされたユイは、口も半開きのまま、酔っぱらったうつろな目で、ぼんやりロイドを見つめる。


(しまった! この顔、やばかった)


 自ら墓穴を掘った事に気付き、ロイドは慌てて顔を背けると、面倒くさそうに言う。


「ったく、手間を取らせるな」

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