雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「なんだ、その色気のない声は」

「だって。首、ダメなのよ。美容院でこの辺を触られるのがイヤだから、髪を伸ばしてるようなもんだし。あなたのアレも本当は苦手なの」

「アレ?」

「癖なの? ほら、よく耳元でコソコソしゃべるじゃない。背中がゾクゾクするのよ」

「ふーん」


 それはいい事を聞いた。

 ロイドは小刻みに頷きながら、ゆっくりとユイの横に腰を下ろした。
 そして意地悪な笑みを浮かべ、指先でユイの首筋をツッと撫でた。


「この辺か?」
「やめてったら!」


 ユイは両手で首をガードし、上半身をロイドの射程距離から遠ざける。
 過剰な反応がおもしろくて、ロイドは無防備になった脇腹をつまんだ。

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