雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
ラクロット氏との協議の結果、ユイの存在はこれまで通り、関係者以外には極秘扱いとなった。
殿下の身代わりに公務をこなさなくてよくなった事と、寝泊まりと食事がロイドの部屋に移った以外、ユイの生活に変わりはない。
捜索隊はゆうべの内に解散したらしい。
ローザンも通常業務に戻った。
彼に渡してあった通信機は、殿下に渡した。
ユイと殿下が同時に王宮内を好き勝手に歩き回って、鉢合わせしたところを事情を知らない者に目撃されてはまずいからだ。
お互いの居場所を確認後に、移動してもらう事にした。
ユイは朝食の後、いつものように研究室にやって来て、いつものように窓辺の椅子に座り、絵本を見たり小鳥を撫でたりしていた。
ロイドはバタバタと残処理を片付け、報告書を持って陛下の執務室へ向かった。
室内に案内されると、陛下は早速人払いを命じた。殿下の件は極秘扱いだからだろう。
ロイドは報告書を読み上げ、陛下に差し出す。
陛下はそれを受け取り、サインをして引き出しに収めた。