雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
確かに、遺跡に探知機を設置する許可をもらう時、時空移動装置の構想について、陛下に話した事がある。まさか覚えているとは思わなかった。
ロイドは思わず、目を細める。
「お見通しでしたか」
陛下は得意げに胸を反らせた。
「当たり前だ。おまえがユイを好きだという事もな」
「それは否定しません。私はユイを愛しています。ですが、結婚となると、私ひとりで決められる事ではありません」
ロイドがうやむやに流そうとすると、陛下はサラリと爆弾発言をした。
「おまえが一言、結婚しようと言えば済む事なんじゃないか? レフォールが何度か見たって言ってたぞ。おまえとユイがテラスでキスしてるのを」
「え……」
ロイドは不覚にもたじろいで、一歩後退してしまった。
まさか見られているとは思わなかった。
陛下は大げさにため息をつく。
「まぁいい。二日後の朝、結論を聞かせてくれ。私は五時にはここにいる。おまえ、一月休んでないだろう。明日は一日休んで、ユイとじっくり相談しろ」
研究室に帰ったらユイを呼ぶように言って、陛下は話を切り上げた。