雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 研究室に戻ったロイドは、陛下のお召しをユイに告げた。
 ユイは小鳥をロイドに預け、陛下の元へ向かった。

 しばらくして戻って来たユイが、陛下に結婚の事を聞かれなかったかと尋ねた。
 彼女も陛下に何度か言われていたらしい。

 忙しいとか相談中だと言い逃れてきたと言う。
 お互いに同じような事を言っていたのがおかしくて、二人で顔を見合わせて吹き出した。

 頑固者のユイは、たとえ結婚しようと言っても、ニッポンに帰る決意を翻したりはしないだろう。

 それを確かめたくて、ロイドはユイに告げた。


「いつか、しよう」
「何を?」


 ユイは不思議そうに首を傾げる。

 ロイドはユイの頬に手を添えて、少し笑った。


「結婚だ」


 ユイも淡く微笑んで、小さく頷いた。


「うん」


 思った通り、ユイは動じない。
 その心の強さに、置いてきぼりを食らったような気になる。

 未だに迷っている自分が情けない。

 ロイドはそれ以上告げる事が出来ず、けれどユイを不安にさせないように、ユイと顔を見合わせて笑った。

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