雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「この先もずっと、一生覚えておこう」(1)


 午後になり、ユイはお菓子を作るために厨房へ出かけた。

 ロイドはたまっている仕事を片付けようと、科学技術局のホストコンピュータに接続し、報告書や計画書の電子データを閲覧していた。

 しばらく黙々と仕事をこなしていると、机の上の電話が内線の着信を知らせる呼び出し音を鳴り響かせた。液晶画面に表示された発信元は、貴賓室だ。

 ロイドが応答ボタンを押して返事をすると、画面にはレフォール殿下が映し出された。


「ロイド、今からそっちに行ってもいい?」
「かまいませんよ」
「じゃあ、ジレットと一緒に行くから」


 電話を切った後ロイドは、ホストコンピュータとの回線を切断し、ジレット嬢のために部屋のセキュリティを解除した。

 廊下に出ると、ちょうどお二人が、ラクロット氏と共にこちらに向かってくるところだった。

 ラクロット氏は殿下を送り届けると、その場を辞した。

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