雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 ロイドは軽く頭を下げる。


「申し訳ありません。私がお伝えするのを失念しておりました。
それは地下では通じないんです」

「なんだ、そうだったんだ。はい。できたよ」


 殿下は笑いながら休憩コーナーの机の上で貼り紙を書くと、ロイドに差し出した。

「危険! 立入禁止」と描かれた紙を持って、ロイドは廊下に出ると、入口横の壁に貼り部屋に戻った。

 殿下とジレット嬢に広域人物捜索装置をお見せして、説明をしていると、ユイが厨房から帰ってきた。

 ユイは殿下の姿を見るなり、不機嫌そうな顔でつかつかと歩み寄る。


「ちょっと、レフォール! 移動する時は連絡する約束でしょ?」
「おまえ! 何、呼び捨てにしてるんだ!」


 いきなり悪態をつくユイの腕を引いてロイドがたしなめると、ユイは平然と釈明する。

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