雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドは以前から何度か、貴族の娘との縁談を、陛下に勧められた事がある。

 その度に、身分が違いすぎるとか、年が離れすぎていてかわいそうだとか、適当な事を言って躱してきた。

 ロイドがユイに興味を持っている事に気付いた陛下は、ユイを養子にしようとした。

 そしてユイがそれを承諾したなら、ユイとの縁談を勧めるつもりだったのだろう。

 陛下の娘との縁談を、陛下自身に勧められて、ロイドが断れるわけがない。
 それにユイなら、身分違いも年の差も、断る口実にならない。

 どうしてそんなに結婚をさせたがるのかは不思議だが、ユイが養子の話を断ってくれて内心ホッとした。

 だが陛下は諦めていないようだ。
 ロイドに勧めても躱されるので、ユイに勧めていた。
 ユイも曖昧にごまかしていたが、ものすごく困った顔をしていた。
 おまけに「結婚するつもりはない」とロイドに直接宣言した。

 ロイドにもそのつもりはないが、露骨に嫌がられるのも、なんだか不愉快な気がする。

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