雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 見下ろすとユイは息も絶え絶えで、少しはだけた胸元が小刻みに上下していた。

 この温もりも甘い唇も、失いたくはない。

 想像しただけでも耐えられないのに、実際にユイのいない世界に耐えられるわけがない。

 思い出なんかいらない!
 欲しいのはユイと共にある未来だ!

 それを手に入れる手段はある。
 終わりにする必要はないのだ。

 ユイが目を開き、うるんだ瞳でロイドを見上げた。
 ロイドは微笑んでユイを見つめ返す。


「やっぱり今はもったいない。続きは今度だ。今日はもう寝ろ」


 そう言ってロイドは、メガネをかけてベッドを離れた。

 ユイを残して寝室を出たロイドは、新しい酒を持ってきてソファに腰掛けた。

 時空移動装置を一日でも早く完成させて、ユイを迎えに行こう。
 何年も時間をかけるつもりはない。
 明日ユイを送り出した後、早速ブラーヌを呼んで調査を続行しよう。
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