雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 そんな事を考えながら酒を注ごうとした時、寝室の扉が勢いよく開いてユイが叫んだ。


「眠れるわけないじゃない! どうして?!」


 ロイドは弾かれたように顔を上げた。
 怒っていたユイの顔がみるみる泣き顔に変わり、瞳から涙が溢れ頬を伝う。


「ロイドがいい……あなたでなきゃイヤなの……」


 ロイドは酒ビンを置いて微笑むと、ユイに向かって手を差し伸べた。


「来い」


 ユイは駆け寄り、ロイドにしがみつく。
 ユイの髪を撫でながら、ロイドは優しく諭す。


「泣くな。オレもおまえがいい。もう、おまえでなきゃイヤだ。だが、それは今度だ」

< 356 / 374 >

この作品をシェア

pagetop