雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「思い出なんかいらない!」(2)

 傍らで眠るユイの幸せそうな寝顔を見つめ、ロイドは目を細めた。
 起こさないようにそっと抱きしめ、耳元で囁く。


「愛してるぞ」


 ユイはくすぐったそうに首をすくめ、口元に笑みを浮かべた。


「うん……私も……」


 起こしてしまったかと少し驚いていると、その後は何の反応もなく、静かな寝息だけが聞こえる。

 どうやら寝言だと分かり、ロイドはホッと息をついた。

 ユイに全てを打ち明けた後、しばらくの間また一緒に酒を飲んだ。

 先に寝るように言ったが、しばらく会えなくなるからロイドが寝るまで、一緒に起きていると言う。

 そんな事を言っておきながら、少しして酔いの回ったユイは、案の定ロイドにもたれて眠り込んだ。
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