雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 時計を見ると、五時を少し回っている。
 陛下は五時には執務室にいるとおっしゃった。
 相変わらず毎日お忙しいようだ。

 おそらくロイドが出した結論を、お待ちになっているだろう。

 ロイドは間近でユイの寝顔をもう一度見つめる。
 いよいよ、しばしの別れの朝がやってきた。

 名残惜しい気持ちを抑えて、ユイの頬にキスを落とすと、ロイドはベッドを下りた。

 身支度を調えて白衣を羽織り、ロイドは陛下の執務室に向かう。
 部屋の中では机に両肘をついて手を組み合わせた陛下が、ロイドを待ち構えていた。


「先日の結論をお伝えしに参りました」


 ロイドがそう言って軽く頭を下げると、陛下は少し目を細めて口元に笑みを浮かべた。


「うむ。顔を見れば分かるが、とりあえず聞こう」

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