雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
夜遅くまでロイドは、広域人物捜索装置の検索データや内蔵プログラムの解析を行ったが、誤動作の原因は掴めなかった。
唯一不審な点といえば、ユイの検索結果が示す座標位置だけだ。
この世界にはありえない座標にも拘わらず、エラーとして扱われていない。
以前にもこんな事があったのかどうか把握していないので、過去のデータも解析してみる必要がある。
その膨大な作業量を考えると、目眩がしそうだった。
捜索隊からの報告も、これといって成果はない。
一日目は無情に過ぎ去った。
作業を切り上げて王宮内の自室に戻ると、部屋の前の廊下でラクロット氏に出くわした。
ちょうどユイの教育が終わったところだと言う。
まだ起きているのなら、ユイに用事がある。
夜遅くに殿下の部屋を訪れるのはまずいので、ロイドは自室を素通りし、テラスからユイの元を訪ねた。
外からガラス戸を叩いてみたが反応がない。試しに戸を引いてみると、あっさり開いた。
カーテンをよけて中を覗くと、ソファにユイが突っ伏していた。