雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「甘そうだな」(2)

 寝ているのかと思ったら、頭が持ち上げられた。どうやら起きてはいるようだ。


「鍵が開いてたぞ。物騒だな」


 部屋の中に入って声をかけると、ユイは身体を起こしてロイドを睨んだ。


「だからって勝手に入ってこないでよ。私が裸だったらどうするの?」
「おまえの裸……?」


 わざわざ見たいような身体でもないが、だからといって外に面したリビングを、鍵もかけずに裸でうろつくような女なんだろうか。

 ロイドが眉をひそめて絶句していると、ユイが立ち上がり詰め寄ってきた。


「なんで黙るのよ! どうせ胸小さいし、背高いし、男の王子様と同じ体型だし、小骨は刺さるし……!」


 言うと怒るだろうと思って黙っていたのに、それでも怒られるとは思わなかった。

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