雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「喉のマイクロマシンを機能停止させてやろうと思って。朝起動すれば今頃は停止してるはずなんだが、今日は午後からだったからな。寝てる間に声を変える必要はないし、強制終了させてやろう。少し上を向け」
珍しく素直に、ユイはそれに従った。
目を合わさないようにしているのか、ロイドの頭越しに空を見つめている。
ロイドはユイの首にリモコンを近づけボタンを押した。
反応音を確認すると、ロイドはリモコンをポケットに収め、ユイの側を離れた。
手すりにもたれ腕を組んで、ユイの様子を窺う。
少ししてユイが喉を押さえて咳き込むと、彼女の声は元に戻った。
ユイはマイクロマシンが与える喉の違和感をぼやきながら、ロイドの隣に来て手すりにもたれた。
何が珍しいのか、彼女は度々星空を見上げる。
ユイに尋ねられ、ロイドは本日の殿下捜索の成果について話した。
ユイはラクロット氏から、殿下を取り巻くお家事情を聞かされたようだ。
国王陛下の弟君で、レフォール殿下の叔父上にあたるラフィット殿下を怪しんでいたが、その可能性は低い。