雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
陛下との謁見に向かう途中、偶然ラフィット殿下と鉢合わせしたが、あの方はユイをレフォール殿下だと思い込んでいた。
ご自身がレフォール殿下の失踪に関わっているなら、ユイを見て少なからず動揺なさるはずだ。
それを説明すると、ユイは自分も調べてみようかと物騒な事を言う。
勝手な事をされて、面倒な事態を招かれては困るので、即座に釘を刺した。
広域人物捜索装置の誤動作の原因も分かっていない事を告げると、ユイは身体を反転させて手すりに縋り、落胆したように大きくため息をついた。
少しの間、二人ともそのままで、沈黙が続いた。
ふとロイドは、ユイの言葉を思いだし、笑いがこみ上げてきた。
「何?」
笑うロイドをユイが訝しげに見つめる。
ロイドは尚も笑いを堪えながらユイに言った。
「おまえ、よっぽど背が高い事を気にしているんだな」