雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドはその後頭部に右手を添えて囁いた。


「黙ってろ」


 非難するようにロイドを睨んで、開きかけたユイの唇をロイドは唇で塞いだ。

 ピクリと一瞬震えた後、ユイの全身が一気に硬直する。

 思った以上にユイの唇は甘かった。
 その甘美な誘惑に、更に溺れようとした時、ユイが思い切りロイドを突き放した。

 間髪入れずにユイは、右手をロイドに振り下ろした。
 ロイドはそれを難なく受け止める。
 すると、左手も振り下ろしてきた。
 それも簡単に捕まえられた。


「何をする」


 両手首を掴んだまま尋ねると、ユイはヒステリックに怒鳴った。

< 45 / 374 >

この作品をシェア

pagetop