雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「こっちのセリフよ! 帳消しって何? 意味わかんない!」
「オレの方こそ意味がわからない。オレとキスしたいと言ったのはおまえじゃないか」


 ロイドの言葉に、ユイは視線を外して考え込んだ。

 もちろんユイはそんな事を言っていない。

「マイクロマシンを飲ませた時、吐き出したものを飲むより口移しの方がいいって言っただろう」


 これは口実だ。
 ロイドは自分の好奇心を満たすため、ユイの言葉を利用したに過ぎない。

 だが、一度はいいと言った事を、これほど激しく怒る理由が、ロイドにはわからなかった。

 ユイが再び怒鳴った。


「学者のくせに、頭悪いんじゃないの?! どうしてくれるのよ! 初めてのキスなのに!」
「え?」

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