雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

 翌朝ロイドは今日のマイクロマシンをユイに飲ませるため、テラス経由で再び殿下の部屋を訪れた。

 ゆうべ拒絶されてしまったので、また苦労して飲ませる事になるかもしれないが、飲ませないわけにはいかない。

 ガラス戸が少し開いたままなのに驚きつつ、外から声をかけた。
返事はない。

 リビングを裸でうろついているかもしれないと言っていたので、何度か「殿下」と呼んでみた。
 しかし返事はない。

 ねぼけていたら自分の事だと分からないのかもしれない。
 仕方なく「ユイ」と呼んでみた。
 だが、やはり返事はない。

 ロイドは開いた戸の端から、カーテンをよけて恐る恐る中を覗いた。
 灯りが消えたままの薄暗いリビングに、ユイの姿はない。

 少しホッとしたと同時に、まだ寝ているのかと呆れた。
 そろそろ朝食の時間だ。
 ラクロット氏が呼びに来る。

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