雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「レフォール殿下、喉のお加減はいかがですか?」


 ユイはロイドを見上げて、少し微笑んだ。
 ユイのこんな表情が自分に向けられるのは、初めてのような気がする。
 少し嬉しくなった時、ユイが口を開いた。


「あぁ、もう大丈夫だ」


 それを聞いて、高まりかけていた気持ちが、一気に冷めた。
 そうか。殿下の演技だったんだ。

 ユイが自分に笑いかける理由などない。
 ロイドは淡々と用件を伝える。


「では後ほど、朝食後にでも私の研究室にお越し下さい。お渡ししたいものがございます」
「わかった」


 ユイの返事を聞いて、ロイドは部屋を出て行こうとした。
 それをユイが引き止めた。

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