雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「まるでガキじゃないか」(1)


 朝食を終えてすぐに、ロイドは研究室に向かった。
 三十分遅れで食事を終えたら、ユイが研究室にやってくる。
 それまでに研究室の入室を許可するよう、ユイの生体情報を登録しておかなければならない。

 昨日、退室の際はセキュリティ装置を停止して対応した。
 入室の記録がないのに退室の記録があると、セキュリティ装置に不審人物としてマークされてしまうからだ。

 王宮内とはいえ、ロイドの研究室は科学技術局の一部だ。
 そのためセキュリティは厳しく、ロイドの許可した者しか入室できないようになっている。

 出入口の外には監視カメラが設置され、何の変哲もないように見える扉は、触れただけで生体認証装置が作動する。

 ロイドが許可していない者が、出入口から一定距離以上中に入ると、たちまち派手なアラームが鳴り響き、天井と床からせり出す檻が侵入者を捕獲する。

 現在入室を許可されているのは、ロイド本人の他に、国王陛下、レフォール殿下、ラクロット氏のみである。

 扉の横に注意書きがあるので、許可がないのに入ってくる、うっかり者はまずいないが、異世界人のユイは文字が読めない。

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