雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
「殿下はご無事なのですか?」
「確認してきます。そこで待っててください」
そう言って、もう一度筒の中の人物を眺め、ふと気付いた。
「ん? ラクロットさん、どうやら殿下ではないようです。ちょっと見てきます」
ロイドは筒の入口を開け中に入ると、横たわる人物の側にしゃがんだ。
下着同然の薄着を纏った身体は、殿下よりもはるかに細く、胸まで薄っぺらいが、どうやら女のようだ。
だが顔の造作は、まるでクローンのように、殿下に瓜二つだ。
ロイドは思わず、間近でその顔を覗き込んだ。
すると、殿下にそっくりな女は、薄目を開いて、すぐに慌てて閉じた。
「殿下ではないようだが……。それにしてもよく似ている。……って、おい! さっき目を開けただろう」