雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜

「まるでガキじゃないか」(2)

 クランベール大陸の各地には、機能が停止していない謎の機械装置を有する、古代遺跡が点在している。

 壊すとどうなるかわからない遺跡を保護するため、新たな道路や建築物を造るには、国の定めた厳しい基準と審査を通過しなければならない。

 ニッポンの乗り物がどのくらいの大きさなのかユイの絵からは分からないが、飛空艇と同じくらいの大きさなら、かなりの広さと長さの道路が必要になる。
 遺跡を避けてそれだけの敷地を、新たにいくつも確保するのは難しい。

 そもそも遺跡の装置が何なのか不明なので、その影響力も影響範囲も未知数で、クランベールの各街は、古代からその広さがほとんど変わっていないのだ。

 ユイは遺跡に興味を持ったらしく、見てみたいと言った。


「街の外にしかない。諦めろ」


 そう言うとあっさり引き下がった。
 そしてロイドに尋ねる。


「私に渡したいものって何?」

< 70 / 374 >

この作品をシェア

pagetop