雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 そろそろ昼食時だという頃、ユイが研究室に戻ってきた。

 声をかけられたが、数を数えていたので返事が出来ずにいると、何を思ったのか、途中から足音を忍ばせて近寄ってきた。

 振り向かなくても、近付けば机の横にある戸棚のガラスに姿が映って、丸見えな事をユイは気付いていないようだ。

 イタズラっぽい表情で手を伸ばしてきたので、椅子を反転させてその手を掴む。
 そのまま掴んだ手を引くと、ユイはバランスを崩して、ロイドのひざの上に倒れ込んだ。


「何の真似だ」


 そう言って尻をピシャリと叩くと、ユイは小さく悲鳴を上げて、尻を押さえながら慌てて起き上がった。


「変なとこ叩かないでよ、エロ学者! 気付いてたんなら返事くらいしたら?」


 顔を赤くして怒鳴るユイに、ロイドは憮然として言い返す。

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