雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 ロイドが追いつくと小鳥は飛び立ち、トンネルの中に入っていった。
 ロイドもその後を追って走り続ける。

 トンネルの出口が近付いて来た時、ユイの悲痛な呼び声が聞こえた。


「ロイド!」


 速度を上げた小鳥を追って、ロイドはトンネルを抜け出した。


「ユイ! どうした?」


 小鳥の舞い降りた東屋の石段の途中に、ユイが生えているように見える。
 側まで駆け寄ると、石段が崩れて、その穴にユイがすっぽり嵌っている事が分かった。

 ユイの身体の周りは、石が傾いていて今にも崩れそうだ。
 彼女がしがみついているという事は、上の段は大丈夫なのだろう。

 ロイドは裏側に回って、ユイの頭の上から覗き込んだ。

 彼女は先ほどの必死な声とは裏腹に、呆然としてロイドを見上げる。

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