雨の日の追憶 〜クランベールに行ってきます 本編ロイド視点〜
 王宮内の医務室に着くと、医師のローザンにユイを任せ、ロイドは東屋に取って返した。
 日が暮れる前に、ユイの転落しかけた現場を調べておきたい。

 ローザンには事情を全て話した。彼が秘密を漏らす事はないだろう。

 ちょうどいいので、事情を知ったローザンには、明日からデータ解析を手伝ってもらう事にした。
 これで肝心の装置本体の調査に着手できる。

 すでに日は沈みかけていた。
 ロイドはポケットからペンライトを取り出し、薄暗くなった東屋の石段を照らした。

 崩れ残った石段の一部は、周りと大きさの揃っていないものが嵌っている。
 王宮の造園技師の仕事とは思えない。

 誰かが一度崩して、新たに組み直したという事か。

 次に穴の中をライトで照らす。
 それほど深い穴ではない。
 穴の側面は最近掘ったものではなさそうだ。

 自然に浸食されて、空いた穴かもしれない。
 誰だか分からないが、それを利用したのだろう。
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