はじめての"好き"。
「何の雑誌かったんだよ」
「…水族館の雑誌」
どうやら、水族館の雑誌を買いにきたらしい。
「水族館?」
「うん、行ったことないし、行けないから…気分だけでもって思って」
「…………」
「?」
確かに、俺たちの家庭のことを考えると、水族館なんて行けるはずがない。きっと、宮地と行くつもりだったんだろう。
結衣の顔、みるからに落ち込んでいる。
………。
「じゃあ、一緒に水族館にいくか?」
「えっ…いいの?」
「おー、暇だしな」
そんなに、暇ではない。でも、結衣の笑顔を見たい。そう思ってしまう。
「やったー!楽しみ」
_