元恋人の甘い痛み【完】
「さっき自分で帰ると…タクシーか誰か呼ぶと言ったな?」
「…ええ、言ったわ」
「誰かと言うのは男か?」
「…そうだけど」
「……………」
また雷牙は口を閉ざす。何が言いたいのか全く分からない中、唐突に腕を掴まれ至近距離へと引き寄せられる。
「なっ…何してっ…」
「お前如きの女が男を自由自在に操れる訳ねぇだろ。笑わせんな」
「…何それ。どうして貴方にそんな事言われなきゃならないの?馬鹿にしないで」
雷牙の腕を振り解こうと腕を引くものの、全くビクともせずで視線だけを外した。