元恋人の甘い痛み【完】
少しでも良い人かもしれないと思った私が馬鹿だった。本当は良い人なんかじゃない、ただの冷酷な人。
いつからこんな冷酷人間になったのだろうか。昔の雷牙はプレイボーイだったけど、今みたいに冷たくはなかった。
私が秘書である前に元カノだから、鬱陶しいって思ってるのかしら。過去の女の顔なんか見たくなかった?ストレスになってる?
「…離して」
力一杯雷牙の手を振り解くと、逃げる様に車から飛び出せば自室へと向かって足早に歩く。
七年経った今でも私を振り回す酷い男。出来れば一番関わりたくない人物。
だけど、上司である以上関わらないのは無理な話。我慢出来る間は我慢するしかないわね。