元恋人の甘い痛み【完】
呆気に取られる中、従業員達の先頭へ歩み出て来たのは広報担当の恵梨香だった。
「お待ちしておりました」
恵梨香は雷牙に向かって軽く会釈をすると、早速と言わんばかりに雷牙の隣りへ並びホテル内へと歩んだ。
私の前を歩く二人の背中をじっと眺める。今日この場に私は必要だったのだろうか。
連れて来られた意味が分からない。私にホテルを見せる為なんだろうけど、何だか面倒臭い事になりそうな予感がする。