元恋人の甘い痛み【完】
「…偶然喫茶店で恵梨香を見掛けたの。男にお金を渡してるっぽかったから、男を捕まえて問い掛けたら白状したの」
「…そうか。アイツを信じきってたのは俺だけか」
「女と言うのは腹黒い生き物だから、気を付けなきゃね。一つ勉強になったんじゃない?」
「あぁ、そうだな」
雷牙はふっと鼻で笑うと、私をじっと見つめる。
「…何?」
「入ったらどうだ?」
「いいえ、帰るわ。さっきの事を伝えたかっただけだから。邪魔して悪かったわね」
雷牙に背を向け玄関を出ようとした矢先、雷牙に腕を掴まれ制止させられた。