元恋人の甘い痛み【完】
名簿と睨めっこをしていると時間が経っている事を忘れ、やがてドアの向こう側が軽く賑わっている事に我に返る。
会議が終わったのだろうか。パソコンからHDを取り出し机の中へしまうと椅子から立ち上がり廊下へと出た。
するとそこには、雷牙と同じくらいの背丈で真っ黒の短髪をワックスで硬め冷たそうな眼差しの男が視界に飛び込んで来た。
勿論、彼だけではなく、年配から若い人まで数名いたのだが、私の中ではその彼だけが目立ち視線を奪われてしまう。
どうしてか目が離せない。
雷牙も大概冷酷そうに見えるが、それ以上を上回る男に呆気に取られてしまった。