元恋人の甘い痛み【完】
と、その時。
「きゃっ!?」
背後から腕をぐっと掴まれ引き寄せられ、腰を引き寄せ力強く抱かれている為身動き出来ずに身を強張らせた。
男はもう片方の手で私の顎を掬い強制的に上向かせる。切れ長の瞳に真っ直ぐ見据えられ丸で時間が止まった様にいつしか瞬きをする事さえ忘れていた。
「あんた、雷牙の女か?」
「…ち、違います」
「なら一夜を共にする秘書か?」
「それも違います。離して下さい…」
何を聞いてるのこの人。どうしてそんな事を聞くのか、分からない。