元恋人の甘い痛み【完】
「あんた男何人いる?」
「…貴方には関係ないでしょ」
「一目見た時から一人の男に囚われない匂いがした。これ程色気があるんだ。男が放っておかないんだろう」
財前は背後から私の身体を抱き締め、肩口へと顔を埋めると首筋に鼻を押し付けながら匂いを嗅ぐ。
「一つお願いがあるんだけれど」
「聞ける事なら聞く」
「貴方とはこれっきりでお願いしたいの。私、株主と関係を持つ趣味なんてないもの」
「一度きりって訳か」
男は服の上から腹部を撫で、手を胸へと滑らせながら暫く口を閉じた。