元恋人の甘い痛み【完】
「…いっ…っ…」
「アンタのその綺麗な顔が歪むのが見たくなった。だが、アンタには似合わないな」
財前の性癖。もしかして、鬼畜?
財前は再び私に近付くと、今度はぎゅっと抱き締め耳朶へ唇を滑らせ食む。
何この人…。
「あんたの快楽に溺れた表情を見てみたくなった。そろそろ本気で行くか」
「…本気も何も私はしないと言った筈だわ」
「そうか」
財前は私の身体を壁へと押し付け両手を頭上で拘束され、首筋へと舌が這う。
「…い、やっ…やめっ…」
その時だった。
「…いい加減にしろ」
聞き覚えのある事が耳に飛び込んで来た。