元恋人の甘い痛み【完】
十二、独占欲


ホテルを出て呆気なく雷牙の車に乗せられ、何がどうしてこうなったのか頭が軽くパニックを起こしている。


話しかけても雷牙は黙ったまま言葉を返そうとしてくれないし、また雷牙の不機嫌が姿を現した。


「この…馬鹿が」

「痛っ」


運転席に乗り込むや否や、雷牙は私の額を若干強くデコピンし痛みで思わず声を出してしまう。


馬鹿って何馬鹿って。


さっきから一言も話さないで、漸く口が開いたと思ったら馬鹿だなんて失礼な男ね。


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