元恋人の甘い痛み【完】
「これじゃ着替えられないじゃない」
「お前はえらく冷めてんだな」
「誰のせいでこんな風になったと思ってるの」
「俺か」
「正解」
抱き締める雷牙の腕を軽く掴むと無理矢理解き、ショーツを着てブラを身に付ける。その様子をじっと眺めている雷牙の視線を浴びるも決して振り向かない。
いいえ、振り向きたくないんだと思う。昨夜雷牙に抱かれて眠りに付く時、幸せだった頃を思い出した。
雷牙と別れてから封印していた、情交の後の幸せの余韻。
昨日、少し感じてしまった。