元恋人の甘い痛み【完】


「落ち着いたか?」

「ええ、もう大丈夫」


雷牙は私の身体をそっと離した。抱擁で落ち着かされるなんて、私らしくないわよね。


それも相手は雷牙。私を変えた張本人なのに、その雷牙によって落ち着かされるなんて、本当どうかしてる。


「腹減ってるだろ。何か作るな」

「いいえ、もう帰るから要らないわ。有難う」

「…そうか。送ってく」

「一人で帰れるから大丈夫」

「駄目だ。送る」

「…有難う」


雷牙は立ち上がりクローゼットから服を取り出すと、その場で着替え始めた。


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