元恋人の甘い痛み【完】
「この馬鹿が」
「一人でも帰れるって言ったでしょ」
「駅はそっちじゃねぇ」
「…え」
私、道間違えてたんだ。方向音痴じゃない筈なんだけれど、どうしたのかしら。
「送るっつったのに勝手に帰る奴があるか」
「状況が変わったんだから仕方ないじゃない。彼女放っておいて大丈夫なの?」
「お前が気にする事じゃない。アイツは帰らせたし気にするな」
「私の事なんて放っておいてくれても大丈夫だったのに」
「そんな事出来るか」
雷牙は再び私の手を取り握ると来た道を戻った。