元恋人の甘い痛み【完】
「……どうして貴方が」
「そんなに警戒しなくても良いだろう」
財前は部屋へ入って来ると、直ぐ横にあるソファーへと腰を降ろす。
「警戒するに決まってるじゃない。何の用?雷牙ならまだ出勤してないわ」
「アンタに用があって来た」
「私に?」
益々嫌な予感しかしないのはどうしてだろうか。この前、あんな事があったから嫌でも警戒してしまうわよね。
出来れば二度と会いたくない人。
ジュオールの大株主だから、そう言う訳には行かないのだけれど。