元恋人の甘い痛み【完】
「もしかして…ずっとここで待ってたの?」
「まぁな」
キスした唇が冷たかった。その冷えた唇からして雷牙が長く此処に居た事を物語っていた。
身体が冷えるまで私を待って何になるのだろう。雷牙はどうしてそこまでするの?私に何を望んでいるの?
「部屋上がる?珈琲くらいなら淹れるわ」
「いや、いい。お前の顔が見られただけで十分だ」
「さっきまで会社で一緒だったじゃない」
「まぁな」
肌寒い夜、二人でクスクスと小さく笑い合った。