元恋人の甘い痛み【完】
十七、揺らぐ心
―――♪~♪―――
会社から帰宅して直ぐ、携帯電話が鳴り響く。
着信相手は番号で誰か分からない中、通話ボタンを押して出た。
「はい、もしもし」
『今晩は。ジュオールホテル支配人の浦田真治(うらたしんじ)と申します』
「今晩は。どうかしたんですか?」
『あの…本日スイートルームをご予約のお客様がいらっしゃったのですが、此方の手配ミスで他のお客様を案内してしまって、お客様が大変激怒されてまして…』
「…そのお客様は今そちらにいらっしゃいますか?」
『はい。社長を出せと…』
雷牙は会議で地方へ行っていて、今からこっちへ向かって貰っても直ぐには対応出来ないわよね…。