元恋人の甘い痛み【完】
「夜だけに冷えるわね」


冷気を含んだ風が身を掠めるとブルッと小さく身震いする。


あんな事言ってしまったけど、朝までこんな状態だなんて、どうにかなってしまいそうだわ。


だけど言ったからには居ないと、自分の言った事に責任も取れないとかって言われそうだし。


ここで帰る訳に行かない。


「帰れと言った筈だ」

「……あ」


不意に背後から聞こえて来たのは雷牙の声だった。


まさか来てくれる等思っていなかったから、少し嬉しく思ってしまった。
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