元恋人の甘い痛み【完】
「こんなのちっとも痛くないわ。貴方の傷に比べれば全然大した事ない」

「…そうか。これだけは分かっていてくれ、俺は…お前の事を利用したつもりは一度もない。確かに欲望はあったが、それは相手がお前だからだ」

「…そう」


雷牙の真剣な眼差しから嘘を付いているとは思えずな上、その言葉は私の胸を貫いた。


“お前だから”


付き合っていた当時もよく言ってくれてた。


付き合っていた当初は、嘘付きな言葉だと思っていたけど、今は少し違うみたい。


信用とまではいかないけど、嬉しく思う私も確かにいた。
< 407 / 709 >

この作品をシェア

pagetop