元恋人の甘い痛み【完】
「…ご、御免なさい…私ったら」
咄嗟に出てしまった行動を振り返ると我ながら驚き、雷牙から離れた。
私…何して…。
「身体が冷たい」
雷牙は私の手を引き車へと歩むと、ロックを解除し助手席へと乗せられた。
車内の暖房を強くしてくれて、身体が暖まるのを感じる。さっきまで寒さなんて全く感じなかった。
それ所じゃなかったのね、きっと。
「…夜中に一人で居たら危ないだろーが」
「……ええ、そうね」
雷牙は溜め息を付くと、私の身体を再びぎゅっと抱き締めた。