元恋人の甘い痛み【完】
「話はもう良いかしら?」
「取り敢えずはな」
「それじゃあ失礼します」
立ち上がり社長室から出て秘書室へと入り、椅子に深々と腰を掛けて窓の外を眺めた。
あれから親友である恵梨香(えりか)とは気まずくなり、どちらから話し掛けるでもなく自然に離れた。
こんな辛い思いをするくらいなら、もう二度と特定の男は作らないと心に決めた。
その気持ちは今も変わらないし、私はずっとこのままのポジションで良い。
男に振り回されるのはもう二度と御免だわ。