元恋人の甘い痛み【完】
「俺は酷い事を言おうが傷付けようが、お前を守る為ならどんな事もやる」
「…嬉しくないわ」
「ただの自己満足だ」
「それに、もし私達の事を誰かに言ったりしたらどうするの?雷牙の立場が危うくなるんじゃない?」
「大丈夫だ。言ったりはしないだろ。万が一言われても問題ない。この程度で俺の立場が危うくなるなら、所詮はその程度の力だったって事だ」
「……もう」
雷牙は笑って私の身を抱き締めた。
雷牙の気持ちは嬉しいし有難いけれど、複雑だわ。
「それと、大事な話がある」
「なに?」
「…俺は……ーーー」
何かを言いかけた所で内線電話が鳴り響いた。
「話は後でいい。今夜開けておいてくれ」
「…わかった」
何かよくわからないけれど大事な話って何かしら。
夜に話してくれるみたいだし、取り敢えず今は仕事をする事に決めた。