元恋人の甘い痛み【完】

ーーーピピッ。


測定終了の音が鳴り体温を確認する。


三十八度。


「ほらみてみろ。熱がある」

「嘘。熱なんてここ一年くらい出てないから気付かなかった」

「お前の事だ。熱に気付かなかっただけじゃないのか」

「失礼な人ね」

「今日は仕事を休んで寝てろ」

「駄目よ、今日はホテルへ行く大事な仕事があるもの。休むわけには行かない」

「何言ってやがる。体調が優先だ」


起きようとする私を無理やりベッドへと寝かせて布団を掛ける。


こんな時に体調を崩すなんて私も馬鹿ね。

< 538 / 709 >

この作品をシェア

pagetop