元恋人の甘い痛み【完】
ーーーピピッ。
測定終了の音が鳴り体温を確認する。
三十八度。
「ほらみてみろ。熱がある」
「嘘。熱なんてここ一年くらい出てないから気付かなかった」
「お前の事だ。熱に気付かなかっただけじゃないのか」
「失礼な人ね」
「今日は仕事を休んで寝てろ」
「駄目よ、今日はホテルへ行く大事な仕事があるもの。休むわけには行かない」
「何言ってやがる。体調が優先だ」
起きようとする私を無理やりベッドへと寝かせて布団を掛ける。
こんな時に体調を崩すなんて私も馬鹿ね。