元恋人の甘い痛み【完】
「シャワー浴びてくる」
「ええ、わかった」
雷牙は着替えを手に浴室へと入って行く。
その後ろ姿はもう今ではすっかり昔の面影はなく広く逞しい背中にドキドキしている私。
いい意味で対等ではない背中。
きっと私が手を伸ばしても対等にはなれない背中。
大勢の社員のトップに立ちジュオールを守る背中。
そして
いつも私の一枚も二枚も上手な背中。
今はもう愛おしい想いしかない。
まだ恋人になる決心が付いたわけじゃないけれど、愛おしい。